カシミールの紙塑漆絵(naqashi)は、カシミール渓谷に伝わる漆絵の工芸です。紙パルプを成形した器物に深いコバルトブルーの下塗りを施し、細やかな金色の花唐草を描いて、上塗りで鏡面のような漆の光沢に仕上げます。特徴的な地色は、ペルシア文化圏の伝統に由来するハザラ(千花)と一枚のチナールの葉の文様を宿した、漆塗りのコバルトブルーです。
このデザインシステムは、漆に金彩を重ねる濃密さを画面へと移します。コバルトブルーの地、金色のハザラ文様の縁飾り、深紅とチナールグリーンのアクセント、そして書の系譜を感じさせるセリフ体を組み合わせています。装飾が構造です。画面の表面は常に、細やかな金線を筆で施した艶やかな漆として感じられるようにします。