これは、1954年に読者へ初めて届いたときの中つ国です。深いブッククロスで装丁された物語であり、その世界は散文だけでなく折り込み地図にも描かれています。ボトルグリーンの表紙、金箔で押された題字、そして内側には精緻なペンとインクの地図。ハッチングの山々、点描の森、羅針図、距離目盛り、眺めるうちに半ば覚えていくルーン文字の縁取りが並びます。
全体は、傾斜した机で手描きされ、古い羊皮紙の色をしたラグペーパーに印刷されたような印象です。冷たく、インクの香りを帯び、学究的でありながら、ひとつだけ温かな印があります。暗闇に対する唯一の溶けた炎、サウロンの目の残り火です。インクで描かれ、クロスで綴じられたひとつの世界と、それを見つめる小さな火があります。