バルーチ族の礼拝用絨毯は、アフガニスタンとイランの国境地帯を移動する半遊牧民のバルーチ女性が、細かな結び目で織り上げる暗色の部族織物です。一枚ごとにメッカの方角を指すミフラーブのアーチがひとつ配され、その壁龕から生命の樹が伸び、同心状の縁飾りには部族固有のグル紋章や走る犬の文様が詰め込まれています。
遠目にはほとんど黒に見える配色も、直接光が当たると、手紡ぎして天然染料で染めた羊毛からプラム、藍、深い赤褐色、ラクダ色が立ち現れます。このデザインシステムは、その親密で祈りに満ちた暗さをデジタルの面へ移し替えます。深いプラムの地、幾何学的な部族文様の縁取り、色むらがもたらす温かな不均一さが特徴です。